インフルエンサー施策で「思っていた投稿と違う」「修正依頼が何往復も続く」といったトラブルの多くは、投稿そのものではなく最初に渡す依頼書(ブリーフ)の情報不足が原因です。口頭やチャットで断片的に伝えると、インフルエンサー側は推測で埋めるしかなく、企業が本当に伝えたかった訴求点が抜け落ちます。

この記事では、企業の担当者がそのまま使える依頼書の必須項目・良し悪しの比較・テンプレート全文をまとめました。縛りすぎず、しかし外してほしくない点は確実に伝える依頼書を作るための実務ガイドとしてお使いください。

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依頼書を渡す前の起用先選びは キャスティング会社の選び方、依頼書と対になる契約面は インフルエンサー契約書で押さえるべき論点 で解説しています。

目次
  1. 依頼書(ブリーフ)の役割
  2. 依頼書の必須項目一覧
  3. 良い依頼書と悪い依頼書の比較
  4. 依頼書テンプレート全文
  5. 自由度の残し方:縛りすぎない設計
  6. 依頼書を送る際の注意点

依頼書(ブリーフ)の役割

依頼書とは、企業がインフルエンサーに「何を・なぜ・どのように・いつまでに」発信してほしいかを1枚に整理した文書です。契約書が権利や責任を定めるものであるのに対し、依頼書は投稿の中身を決める設計図にあたります。

依頼書がしっかりしていると、次の3つの効果があります。1つ目は修正回数の削減で、初稿の段階で企業の意図に沿った内容が上がってきやすくなります。2つ目はインフルエンサー側の負担軽減で、質問の往復が減り、制作に集中してもらえます。3つ目は複数人に同時依頼する際の品質の均一化です。とくに5名以上に依頼する場合、依頼書がないと投稿の方向性がばらつき、キャンペーン全体としての一貫性が失われます。

依頼書の必須項目一覧

依頼書に最低限含めるべき項目は以下の通りです。すべてを長文で書く必要はなく、各項目を1〜3行で埋めるだけでも十分に機能します。

項目書く内容抜けた場合に起きること
1. 目的・ゴール認知拡大/来店促進/EC購入など、施策で達成したいこと投稿のトーンやCTAが目的とずれる
2. 商品・サービス概要何をどんな人に届けるものか、価格、購入導線説明が薄い・誤った紹介になる
3. 訴求ポイント必ず触れてほしい特徴を3つ以内で企業が伝えたい点が投稿に入らない
4. NG事項言ってはいけない表現、競合の映り込み、薬機法・景表法に触れる表現修正・差し戻しや法的リスク
5. 投稿仕様媒体、形式(フィード/リール等)、本数、ハッシュタグ、タグ付け「本数が違う」「タグがない」の行き違い
6. スケジュール初稿提出日、確認期間、投稿日、投稿維持期間公開日がキャンペーンとずれる
7. PR表記「#PR」「#提供」など表記の指定と位置ステマ規制違反のリスク
8. 報酬・支払い金額、税込/税別、支払日、商品提供の有無後から金額交渉が発生
9. 権利・二次利用投稿素材を企業が広告や自社SNSで使えるか、期間と範囲無断転載トラブル
10. 連絡先・担当質問窓口、返信の目安時間確認待ちで進行が止まる

このうち訴求ポイント・NG事項・PR表記・権利の4つは、抜けると修正や法的トラブルに直結するため、他の項目を省略してでも必ず記載してください。

良い依頼書と悪い依頼書の比較

同じ項目を埋めていても、書き方次第で成果物の質は大きく変わります。現場でよくあるパターンを比較します。

観点悪い依頼書良い依頼書
目的「認知を広げたい」「20代女性の新規フォロワー獲得。投稿から公式アカウントへの遷移を重視」
訴求点特徴を10個以上羅列「必ず触れる点は3つ。優先順位は①②③」と明記
表現指示台本を一言一句指定「この3点が伝われば言い回しは自由」と幅を残す
NG事項記載なし、または「常識の範囲で」「効果を断定する表現NG」「他社製品の映り込みNG」など具体化
スケジュール「なるべく早く」初稿・確認・投稿日をそれぞれ日付で指定
報酬「相談しましょう」金額・税区分・支払日・振込手数料の負担者まで明記
権利触れていない「投稿画像を6か月間、自社SNSと広告で利用可」と範囲を限定

悪い例に共通するのは「曖昧さ」と「過剰な縛り」の両極端です。インフルエンサーはフォロワーとの信頼関係を軸に活動しているため、伝えるべき点は具体的に、表現は本人に委ねるバランスが最も投稿の反応を高めます。

依頼書テンプレート全文

以下は、そのままコピーして使えるテンプレートです。角括弧の部分を自社の内容に置き換えてください。

テンプレート

■ 案件名:[商品名] SNS投稿のご依頼([年月])

■ 依頼元:[会社名]/担当:[氏名]/連絡先:[メール](平日[時間帯]に返信します)

■ 施策の目的:[例:20〜30代女性への新製品認知拡大。投稿から公式アカウントへの遷移を重視]

■ 商品・サービス概要:[商品名/価格/販売チャネル/購入URL]。[特徴を2〜3行で]

■ 必ず伝えてほしいポイント(優先順):①[ ] ②[ ] ③[ ]
※言い回しは普段の投稿のトーンでお任せします。

■ NG事項:・効果効能を断定する表現(例「必ず〇〇が治る」)・他社製品の映り込み・[その他]

■ 投稿仕様:媒体 [Instagram]/形式 [フィード1本+ストーリーズ1本]/必須ハッシュタグ [#PR #商品名]/タグ付け [@公式アカウント]/文字数・尺の目安 [ ]

■ PR表記:キャプション冒頭に「#PR」を記載してください。ストーリーズは画面内に「PR」表示をお願いします。

■ スケジュール:初稿提出 [月/日]/弊社確認 [2営業日以内]/投稿日 [月/日 時]/投稿維持期間 [投稿後3か月以上]

■ 報酬:[金額]円(税[込/別])+商品提供[あり/なし]。投稿確認後、[月末締め翌月末]にお振込み(振込手数料は弊社負担)。

■ 素材の二次利用:投稿画像・動画を[6か月間]、弊社公式SNS・Web・[広告]で使用させていただきたく、可否をご回答ください。

■ 添付資料:商品画像/過去の投稿例/ブランドガイドライン

■ ご質問:不明点は遠慮なく上記連絡先までお願いします。

初稿の確認手順や修正の上限回数(例:2回まで)も、契約書に加えて依頼書に一言添えておくと、双方の想定がそろいやすくなります。

自由度の残し方:縛りすぎない設計

依頼書で失敗しやすいのが「不安だから細かく指示する」ことです。台本のように言い回しまで指定すると、投稿がいかにも広告らしくなり、フォロワーの反応が落ちる傾向があります。インフルエンサー側の視点は PR案件の受け方ガイド でも触れていますが、受け手は「自分の言葉で紹介できるか」を重視しています。

自由度を残しつつ品質を担保するには、次の3層で指示を分けるのが有効です。

  1. 必須(Must):PR表記、訴求点3つ、NG事項、投稿仕様。ここは明確に指定します。
  2. 推奨(Should):「こんな使用シーンだと伝わりやすい」といった参考情報。採用は本人に任せます。
  3. 自由(Free):言い回し、構図、テンション、投稿時間帯など。普段の投稿スタイルに委ねます。
POINT

依頼書の中に「なぜあなたに依頼したのか」を1〜2行添えると、インフルエンサーは自分の強みを活かした投稿を意識しやすくなります。「普段の〇〇の投稿が商品の世界観に合うと感じました」のような一文は、指示よりも強く投稿の方向性を揃える効果があります。

依頼書を送る際の注意点

最後に、依頼書運用でつまずきやすい点を整理します。

まとめ

インフルエンサーへの依頼書は、目的・訴求点・NG事項・投稿仕様・PR表記・スケジュール・報酬・権利の必須項目を1枚にまとめ、伝えるべき点は具体的に、表現は本人に委ねる設計にすることで、修正の往復を減らし投稿の質を高められます。テンプレートをベースに自社用の雛形を1つ作り、案件ごとに改善を重ねていくことが、インフルエンサー施策を安定して運用する近道です。