インフルエンサーマーケティングの成否は、施策を始める前のKPI設計でほぼ決まります。「フォロワーの多い人に投稿してもらったが、良かったのか悪かったのか判断できない」という状態は、投稿の質ではなく、目的と指標が最初に決まっていなかったことが原因であるケースがほとんどです。

この記事では、KGI→KPI→計測指標の3層で考える設計の型、目的別(認知・エンゲージメント・送客・購買)の指標一覧、目標値の決め方、計測の仕組み、そのまま使えるKPI設計テンプレートまでを一つにまとめました。企業のマーケティング担当者が、施策の企画書や報告書にそのまま転記できることを目指しています。

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指標の測り方そのものは インフルエンサーマーケティングの効果測定、結果のまとめ方は インフルエンサー施策レポートの作り方、予算の目安は インフルエンサーマーケティングの費用相場 をあわせてご覧ください。

目次
  1. KPI設計の基本:KGI→KPI→計測指標の3層で考える
  2. 目的別のKPI指標一覧(認知・エンゲージメント・送客・購買)
  3. 目標値の決め方:3つのアプローチ
  4. 計測の仕組みを先に用意する(UTM・クーポン・専用LP)
  5. そのまま使えるKPI設計テンプレート
  6. KPI設計でよくある失敗と対策

KPI設計の基本:KGI→KPI→計測指標の3層で考える

KPIを「指標の寄せ集め」にしないコツは、上位目標から順に分解することです。一般的に、次の3層で整理すると社内でも説明しやすくなります。

ポイントは、KPIは1〜2個に絞り、残りは計測指標として扱うことです。すべてを「KPI」と呼ぶと、達成/未達の判断がぼやけ、施策の継続可否を議論できなくなります。KGIが「売上」であっても、インフルエンサー施策単体で売上を直接説明しきれない場合は、KPIを「送客数」や「指名検索数」に置き、KGIとの関係を仮説として明記しておく形が現実的です。

目的別のKPI指標一覧(認知・エンゲージメント・送客・購買)

インフルエンサー施策の目的は、大きく「認知」「エンゲージメント」「送客」「購買」の4つに分かれます。目的ごとに主KPIと補助指標、計測に使う手段の目安を整理すると次の通りです。

施策目的主KPI(1〜2個)補助となる計測指標主な計測手段
認知拡大リーチ数/ユニークリーチ、CPM(1,000リーチ単価)インプレッション、動画再生数、視聴完了率、フォロワー増加数、指名検索数各SNSのインサイト、インフルエンサーからのスクリーンショット提出、Googleトレンド・検索コンソール
エンゲージメント・態度変容エンゲージメント率、保存数(保存率)いいね、コメント数・内容、シェア数、UGC投稿数、ハッシュタグ投稿数各SNSのインサイト、ハッシュタグ検索・ソーシャルリスニング
送客(サイト・アプリ)投稿経由セッション数、CPC(クリック単価)リンククリック数、プロフィール訪問数、LP滞在時間、直帰率、アプリインストール数UTMパラメータ+GA4、短縮URL、専用LP、アプリ計測SDK
購買・獲得CV数(購入・申込)、CPA、ROASクーポン利用数、カート投入数、平均注文額、新規購入者比率、リピート率専用クーポンコード、アフィリエイト計測、GA4のコンバージョン設定、注文データ

主KPIは施策目的と1対1で対応させます。認知目的の施策を「CV数」で評価すると、ほぼ確実に「効果なし」と見えてしまいます。逆に、購買目的なのに「いいね数」で評価すると、売上に結びつかない施策が継続されてしまいます。

POINT

1つの施策で複数の目的を追う場合は、「主目的の主KPI」を1つ決めた上で、副次目的の指標を「参考値」として並べる形にしてください。評価軸が複数あると、施策の良し悪しを決められません。

目標値の決め方:3つのアプローチ

指標が決まったら、次は「いくつなら成功か」という目標値です。過去データの有無で、使えるアプローチが変わります。

アプローチ向いている状況決め方注意点
1. 過去実績ベース過去に同種の施策を実施したことがある前回の実績値を基準に「+10〜20%」など改善幅を設定起用インフルエンサーや商材が変わると比較条件がずれる
2. 逆算ベースKGI(売上・CV数)が先に決まっているKGIから必要CV数→必要クリック数→必要リーチ数と、想定転換率で逆算転換率の仮定を明記し、実績で補正する前提で設定する
3. 起用条件ベース初めての実施で過去データがない起用インフルエンサーの平均リーチ・平均エンゲージメント率から期待値を積み上げる「見込み」であることを社内に共有し、初回は基準づくりと位置づける

逆算ベースの計算例を示します(例:数値はすべて仮定の架空値です)。

計算例(仮定の数値)

KGI:施策経由で購入100件。想定するLPのCVRを2%とすると、必要なサイト訪問は 100 ÷ 0.02 = 5,000セッション。投稿からのリンククリック率を1%と仮定すると、必要リーチは 5,000 ÷ 0.01 = 50万リーチ。起用候補の平均リーチが1投稿5万なら、10投稿分の設計が必要、という形で必要規模が見えてきます。

この逆算は「正しい予測」を出すためではなく、仮定の置き方を関係者と共有するために行います。実施後に「クリック率は想定1%に対して0.6%だった」と、どの仮定がずれたかを特定できることが最大の価値です。

計測の仕組みを先に用意する(UTM・クーポン・専用LP)

KPIは「決める」だけでなく「測れる状態にする」まででワンセットです。投稿後に計測できないことが判明するケースは非常に多いため、実施前に次の仕組みを整えておきます。

  1. UTMパラメータ付きURL:インフルエンサーごと・投稿ごとにパラメータを変える(例:utm_source=instagram、utm_medium=influencer、utm_campaign=キャンペーン名、utm_content=インフルエンサー名)。GA4で流入元別に集計できるようになります。
  2. 専用クーポンコード:インフルエンサーごとに固有コードを発行すると、リンクを経由しない購入(投稿を見て後日検索して購入)も拾えます。
  3. 専用LP:施策専用のランディングページを用意すると、直接流入以外の混在を避けられ、LP側のCVRも独立して改善できます。
  4. インサイト提出の取り決め:リーチ・保存数などはインフルエンサー本人にしか見えない数値です。投稿後○日時点のスクリーンショット提出を契約・依頼時に明記しておきます。
  5. 指名検索・UGCの基準値:施策前の指名検索数やハッシュタグ投稿数を記録しておかないと、施策後の変化量を示せません。

計測手段の詳細と、SNSごとにどの数値がどこで確認できるかは 効果測定の記事 で解説しています。

そのまま使えるKPI設計テンプレート

以下は、企画書や報告書に転記できるKPI設計シートの項目一覧です。施策開始前に埋め、実施後に「実績」列を追記する運用を想定しています。

テンプレート:KPI設計シート

「継続判断の基準」を事前に書いておくことが、テンプレートの中でも特に重要です。実施後に基準を決めると、どうしても結果に合わせた解釈になりがちです。予算の内訳を組む際の相場感は 費用相場の記事 を参考にしてください。

KPI設計でよくある失敗と対策

最後に、企業担当者から相談を受けることが多い失敗パターンと、その対策をチェックリスト形式でまとめます。

まとめ

インフルエンサーマーケティングのKPI設計は、KGI→KPI→計測指標の3層で分解し、施策目的(認知・エンゲージメント・送客・購買)に応じた主KPIを1〜2個に絞ることが基本です。目標値は過去実績・逆算・起用条件のいずれかを根拠に置き、UTMやクーポン、専用LPなどの計測手段を投稿前に整えておきます。この記事のテンプレートを埋めるだけで、施策の企画・実施・評価が一本の線でつながります。実施後のレポートづくりについては 施策レポートの作り方 を続けてご覧ください。