この記事は、UGCシリーズの中で「用語の違い」だけに特化した記事です。マーケティングの現場では「CGM」「UGC」「UGM」「口コミ」「レビュー」「eWOM」といった言葉が混在して使われ、定義が曖昧なまま議論が進んで認識がずれる場面がよくあります。本記事では、CGMとUGCの違いを軸に、混同しやすい類似用語を比較表で整理し、社内資料や提案書でどう使い分ければよいかまでを解説します。施策の進め方ではなく、言葉をそろえるための辞書として使ってください。

UGCそのものの定義と全体像はUGC(ユーザー生成コンテンツ)とは?、手法の選び方はUGCマーケティング手法の選び方、収集の実務はUGC収集の仕組みで解説しています。

目次
  1. 結論:CGMとUGCの一行で分かる違い
  2. CGMとは何か(定義と歴史)
  3. UGCとは何か(定義と歴史)
  4. CGMとUGCの違い詳細表
  5. CGMとUGCの関係性(CGM上でUGCが流通する構造)
  6. 混同しやすい類似用語の比較表(UGC/CGM/UGM/口コミ/レビュー等)
  7. 用語を判定する3つの質問
  8. データで見る:代表的なCGMの利用規模
  9. マーケティングでの使い分け方
  10. 社内・提案書での表記ルール例
  11. よくある誤用パターン

結論:CGMとUGCの一行で分かる違い

結論を先に書きます。

つまり、CGMは「Instagram」「食べログ」「Amazon」「@cosme」「価格.com」「YouTube」などのプラットフォームそのもの。UGCは「そのプラットフォーム上に投稿された個別の写真・動画・口コミ」を指します。CGMの中でUGCが流通するという階層関係です。

POINT

覚え方の比喩:CGMが「劇場」、UGCが「その劇場で上演される個別の演劇」。劇場(CGM)がなければ演劇(UGC)は上演できず、演劇(UGC)がなければ劇場(CGM)に人は集まりません。両者は相互に依存しています。

CGMとは何か(定義と歴史)

CGM(Consumer Generated Media、消費者生成メディア)は、ユーザーが投稿・編集・更新することで成立しているメディア・プラットフォームのことです。企業や編集者が一方的にコンテンツを供給する従来型メディアと対比される概念です。

CGMの代表例

カテゴリ代表的CGM主な投稿物
口コミレビュー系@cosme/食べログ/じゃらん/価格.com商品・店舗・サービスの口コミ
SNS系Instagram/X/TikTok/Threads写真・動画・テキスト投稿
動画共有系YouTube/Twitch/ニコニコ動画動画コンテンツ
知識共有系Wikipedia/Quora/Yahoo!知恵袋解説記事・質問回答
EC内レビューAmazon/楽天市場/Yahoo!ショッピング購入商品レビュー
マップ系Googleマップ/Foursquare店舗・場所のレビュー

CGMの歴史

CGMという概念は2000年代前半に広まりました。ブログの普及で「個人がメディアになる」現象が起き、その器となるプラットフォームを示す言葉として使われるようになりました。日本では@cosmeや食べログなどの口コミサイトが初期の代表例として挙げられ、その後SNSの普及で対象範囲が大きく広がりました。

2010年代以降は「ソーシャルメディア」「プラットフォーム」と呼ぶケースが増え、CGMという用語はやや古い言い方になりつつあります。ただし口コミサイトやメディア業界では現在も使われています。

UGCとは何か(定義と歴史)

UGC(User Generated Content、ユーザー生成コンテンツ)は、ユーザーが制作・発信する個別のコンテンツそのものを指す概念です。写真・動画・テキスト・音声・ハッシュタグ投稿など、形式を問いません。

UGCの代表的な形態

UGCの歴史

UGCという用語は2000年代半ばから、Web2.0の文脈で欧米を中心に使われ始めました。当初は「ユーザーが作るコンテンツ」全般を指していましたが、SNSの普及とともに、マーケティングでは「企業の発信に対する第三者の発信」を指す用語として定着しています。

近年は、UGCを起点に購買行動を捉えるULSSASのようなモデルも提唱されています。購買プロセスとしての考え方はULSSAS(ウルサス)とは?で解説しています。

CGMとUGCの違い詳細表

2つの概念の違いを多角的に比較しました。

軸CGMUGC
概念のレイヤーメディア・プラットフォーム(器)コンテンツ(中身)
具体例Instagram/食べログ/Amazon個別の写真・レビュー・動画
運営者・作り手プラットフォーム企業個人ユーザー
数え方「どのCGMを使うか」(選択)「何件あるか」(件数)
マーケでの主な論点出稿先・公式アカウントの運用先の選定発生・収集・許諾・二次利用
権利の考え方各プラットフォームの利用規約原則として投稿者に権利があり、企業利用には許諾が必要
近い言い換えUGM、ソーシャルメディア、プラットフォーム口コミ、レビュー、eWOM

CGMとUGCの関係性(CGM上でUGCが流通する構造)

CGMとUGCは対立する概念ではなく、「CGMという器の上でUGCが生まれて流通している」という階層構造の関係にあります。

CGMプラットフォームそこに流通するUGCの典型
Instagram(CGM)商品写真・リール動画・ストーリーズ(UGC)
食べログ(CGM)飲食店のレビューテキスト・写真(UGC)
Amazon(CGM)購入商品レビュー(UGC)
YouTube(CGM)個人投稿動画(UGC)
Googleマップ(CGM)店舗口コミ・写真投稿(UGC)

企業は「自社のUGCがどのCGMに集まっているか」「どのCGMに集めたいか」を意識する必要があります。たとえばコスメならInstagramと@cosme、飲食店なら食べログとGoogleマップ、EC商材ならAmazonとInstagram、というように、業種ごとに重要なCGMは異なります。

混同しやすい類似用語の比較表(UGC/CGM/UGM/口コミ/レビュー等)

UGCやCGMの周辺には類似用語が多く、社内外の会話で混同されがちです。「何を指す言葉か(器・中身・行為・心理)」の軸で整理すると、違いが見えやすくなります。

用語指すもの意味UGCとの関係・違い
UGC中身ユーザーが生成したコンテンツ全般基準
CGM器消費者の投稿で成り立つメディアUGCが流通する場
UGM(User Generated Media)器ユーザー生成メディア。CGMとほぼ同じ意味で使われるCGMの言い換え。「消費者」より広く「利用者」を指す表現
口コミ行為・情報人から人への評判・情報の伝達。対面の会話も含むUGCより範囲が広い(オフラインを含む)
レビュー中身商品・サービスへの評価を書いたものUGCの一形態。評価・点数を伴うことが多い
eWOM(electronic Word of Mouth)行為・情報インターネット上の口コミUGCとほぼ重なるが、主に学術研究で使う用語
ソーシャルプルーフ心理他者の行動・評価を判断の手がかりにする心理傾向UGCが影響を持つ「理由」を説明する概念
インフルエンサー投稿(PR)中身企業の依頼を受けたインフルエンサーの投稿狭義ではUGCに含まれないが、実務では「依頼型UGC」として扱うことがある。PR表記が必要
公式コンテンツ(ブランドコンテンツ)中身企業自身が制作・発信するコンテンツUGCの対になる概念
ソーシャルリスニング行為SNS上の声を収集・分析する活動UGCを「聞く・分析する」ための手法

特に混同が多いのは「口コミ」と「UGC」です。口コミは店頭や知人との会話も含む広い概念で、UGCはそのうちデジタル上にコンテンツとして残ったもの、と整理すると分かりやすくなります。また、UGMはCGMの言い換えであり、UGC(コンテンツ)とは指すものが違う点に注意してください。

用語を判定する3つの質問

会議や資料作成で「この場合はどの用語が正しいか」と迷ったときは、次の3つの質問を順番に当てはめると判断できます。

質問答え使う用語
Q1. 話しているのは「場所・サービス」か「投稿そのもの」か場所・サービスCGM/UGM/プラットフォーム
投稿そのものQ2へ
Q2. 作ったのは企業か、企業の外の人か企業公式コンテンツ
企業の外の人Q3へ
Q3. 企業からの依頼・対価はあったかあったインフルエンサー投稿(依頼型UGC)※PR表記の確認が必要
なかったUGC(評価を書いたものならレビュー)

「口コミ」「eWOM」「ソーシャルプルーフ」は、個々の投稿ではなく、情報が広がる現象や心理を語るときに使う言葉です。1件1件の投稿を数えたり、許諾を取ったりする文脈では、UGCという言葉を使うほうが誤解が生じにくくなります。

データで見る:代表的なCGMの利用規模

「どのCGMにUGCを集めるか」を考える際の前提として、主要SNS(代表的なCGM)の利用率を確認しておきましょう。

SNS利用率(全年代)
LINE91.1%
YouTube80.8%
Instagram52.6%
X43.3%
TikTok33.2%
Facebook26.8%

出典:総務省(令和6年度調査)。LINEは利用率が最も高いものの、主にクローズドなやり取りに使われるため、公開されたUGCが蓄積するCGMとしての性質は他のSNSと異なります。つまり「利用率が高いCGM=UGCが集まりやすいCGM」とは限りません。公開性(誰でも見られるか)と検索性(後から探せるか)もあわせて見ることが、CGM選定の視点になります。年代別の詳しい数値は年代別SNS利用率データをご覧ください。

マーケティングでの使い分け方

実際のマーケティング業務で、CGMとUGCをどう使い分ければよいかを整理します。

CGMを主語にする場面

UGCを主語にする場面

一般的には、CGMの選定は戦略段階で決め、日常の運用ではUGCを中心に語る、という使い分けが分かりやすいです。

社内・提案書での表記ルール例

用語の揺れは、部署間や代理店とのやり取りで特に問題になります。次のような表記ルールを社内で1枚にまとめておくと、議事録やレポートの読み違いを減らせます。

場面推奨する表記避けたい表記
媒体・出稿先の話「Instagram(CGM)」「口コミサイト」「UGCサイト」
投稿件数の報告「UGC件数(自然発生/依頼型を分けて記載)」「口コミ数」(範囲が曖昧)
評価・点数を伴う投稿「レビュー」「UGC」とだけ書く(評価情報が伝わらない)
インフルエンサーの投稿「インフルエンサー投稿(PR)」「UGC」とだけ書く(依頼の有無が伝わらない)
二次利用する素材「許諾済みUGC」「UGC素材」(許諾の有無が不明)
SNS上の声の分析「ソーシャルリスニング」「UGC分析」「CGM分析」

特に「許諾済みUGC」と「依頼型UGC」を明記するルールは、法務・広報部門との連携で役に立ちます。二次利用の許諾の取り方はUGC利用許諾の取り方で解説しています。

よくある誤用パターン

マーケティング業務で見かける、CGMとUGCの誤用パターンを整理します。

誤用1:「CGM施策」と言いつつ実はUGC施策

「CGM施策」と言う際、実際に行っているのは「Instagramでのハッシュタグキャンペーン(UGCを生む施策)」であることがよくあります。CGMは器なので、施策の対象は器の中のUGCです。「Instagram上でのUGC施策」と表現するほうが正確です。

誤用2:「UGCを運用する」

UGCは個別のコンテンツなので「運用する」対象ではありません。運用するのは「UGCを生む仕組み」「UGCを収集・蓄積する仕組み」「UGCを二次利用するルール」です。「UGCを集める/使う/増やす」と表現するのが自然です。

誤用3:「InstagramはUGC」

InstagramはCGMであり、Instagram上に投稿される写真・リール動画がUGCです。「InstagramはUGCが集まるプラットフォーム」と表現するのが正確です。

誤用4:「企業の発信もUGC」

UGCは「ユーザー(User)」が生成したコンテンツです。企業の公式アカウントの投稿はUGCではなく「公式コンテンツ」です。インフルエンサーがPR表記付きで発信した投稿は、狭義ではUGCに含まれませんが、実務では「依頼型UGC」として区別して扱うことがあります。

まとめ

CGMとUGCは混同されやすいものの、CGMは「器」、UGCは「中身」という明確な違いがあります。UGMはCGMの言い換え、口コミはオフラインも含む広い概念、レビューはUGCの一形態、ソーシャルプルーフはUGCが影響を持つ心理的な理由、というように、周辺の用語も「何を指す言葉か」で整理できます。

迷ったときは「場所か投稿か」「企業か外部か」「依頼があったか」の3つの質問で判定し、社内の表記ルールとして共有しておくと、議論や報告の精度が上がります。用語がそろったら、UGCの全体像に戻って目的別の記事へ進んでください。SIGNAL BASE は、Instagram・TikTok・YouTube・X・Threadsなど主要なCGMでのマイクロインフルエンサー施策を月額制で提供しています。