この記事は、UGC(User Generated Content:ユーザー生成コンテンツ)の「定義」と「全体像」だけに絞って整理した、UGCシリーズの入口(ハブ)記事です。企業のマーケティング担当者が「UGCとは何を指すのか」「どこまでをUGCとして扱うのか」「UGC施策はどんな工程で成り立っているのか」を短時間でつかみ、自分の目的に合った詳細記事へ進めるように構成しています。収集の実務、手法の選び方、許諾・著作権、事例などの各論は、それぞれ専門の記事に分けて解説しています。
UGCは、広告とは別の経路で購買検討に影響する情報源として、多くの企業が注目している領域です。一方で「UGCを増やしたい」という目標だけが先に立ち、定義や範囲が社内で揃わないまま施策が空回りするケースも少なくありません。まずは言葉の意味と全体の地図をそろえるところから始めましょう。
UGCマーケティングの深掘りはテーマ別に記事を分けて構成しています。本記事は定義と全体像を扱うハブ記事です。目的別の読む順番は記事後半の一覧にまとめています。
- 本記事:UGC(ユーザー生成コンテンツ)とは?定義・範囲・全体像 ← 定義・全体像
- CGMとUGCの違いとは?用語整理とマーケティングでの使い分け ← 用語の違い
- UGC収集の仕組み|募集設計・ハッシュタグ・許諾フロー ← 収集の実務
- UGCマーケティング手法の選び方|目的別の判断表 ← 手法の選び方
- ULSSAS(ウルサス)とは?UGCを軸にした購買プロセス ← 購買プロセス
- UGC活用事例集|業種別の成功パターンと再現ポイント ← 活用事例
- UGCプラットフォーム・ツール比較|4タイプ別の選び方 ← ツール選定
- 製造業・BtoBメーカーのUGC活用ガイド ← 業種特化(BtoB)
UGCとは何か(定義)
UGC(User Generated Content)とは、企業ではなくユーザー自身が制作・発信するコンテンツのことです。SNSへの口コミ投稿、ECサイトの商品レビュー、使用感の写真、開封動画、Googleマップの口コミなど、利用体験に基づいて発信されるコンテンツ全般を指します。
狭義には、企業が一切関与せずユーザーが自由に発信したコンテンツを指します。一方、実務では「企業が依頼したインフルエンサーの投稿(PR表記あり)」も、第三者の目線で発信されているという意味でUGCの一部として扱われることがあります。両者の境界は文脈によって揺れるため、社内では「どこまでをUGCと呼ぶか」を最初に決めておくのが実務的です。
なお、UGCが投稿される場(InstagramやAmazonなどのプラットフォーム)はCGM(消費者生成メディア)と呼ばれ、UGCとは指すものが異なります。CGM・口コミ・レビュー・eWOMなど類似用語との違いはCGMとUGCの違い|用語整理で比較表にまとめています。
どこまでがUGCか:範囲を判断する3つの問い
「この投稿はUGCとして扱ってよいか」は、実務で最初に迷うポイントです。定義を暗記するよりも、次の3つの問いで判断すると社内の認識をそろえやすくなります。
| 問い | 「はい」の場合 | 「いいえ」の場合 |
|---|---|---|
| ① 発信者は企業の外の人か | UGCの候補 | 公式コンテンツ・社員発信として別管理 |
| ② 企業から対価や依頼があったか | 「依頼型UGC」として区別し、PR表記の有無を確認 | 「自然発生型UGC」 |
| ③ 企業が二次利用してよい状態か | 許諾済みUGCとして活用可能 | 閲覧・分析の対象にとどめる |
この3つの問いで分類すると、UGCは大きく「自然発生型」「依頼型(インフルエンサー投稿やモニター投稿など)」に分かれ、さらにそれぞれが「許諾済み」「未許諾」に分かれます。特に②の区別は重要です。依頼型の投稿は、ステルスマーケティング規制の観点からPR表記の管理が必要になるため、自然発生型と同じ扱いにしないよう注意してください。
社内の資料やKPIで「UGC件数」を扱うときは、自然発生型と依頼型を分けて集計するのがおすすめです。合算すると、依頼を増やしただけで「UGCが増えた」と見えてしまい、施策の実力が判断しにくくなります。
なぜUGCが企業マーケティングで重視されるのか
UGCが重視される背景には、消費者の情報収集行動の変化があります。代表的な理由を整理します。
- 第三者の発信が参考にされやすい:同じ商品紹介でも、企業の広告より実際の利用者の感想のほうが判断材料として参照されやすい傾向があると、一般的に言われています
- SNS内での検索行動:購入前にInstagram・TikTok・XなどでUGCを探す行動が広がっており、Google検索だけでなくSNSも情報源になっています
- 蓄積性:広告は出稿を止めると表示されなくなりますが、UGCはSNSや口コミサイトに残り、後から検討する人の目にも触れ続けます
- 制作の分散:企業がすべてのクリエイティブを自前で作るのではなく、利用者の発信を活用することで、多様な視点の素材が集まります
ただし、UGCは「広告の代わり」ではありません。広告が届けにくい信頼や具体的な利用イメージを補う役割を担う、と捉えるのが現実的です。UGCを起点にした購買プロセスの考え方はULSSAS(ウルサス)とは?で詳しく解説しています。
データで見る:UGCが流通する「場」の大きさ
UGCの影響力は、それが流通するSNSの利用規模と、企業がソーシャルメディアに投じている予算の大きさからも読み取れます。公的調査・業界調査の数値を2つ紹介します。
| 指標 | 数値 | 出典 |
|---|---|---|
| 主要SNSの利用率(全年代) | LINE 91.1%/YouTube 80.8%/Instagram 52.6%/X 43.3%/TikTok 33.2% | 総務省(令和6年度調査) |
| 国内ソーシャルメディアマーケティング市場 | 2024年 1兆2,038億円(前年比113%)、2029年に2兆1,313億円の予測 | サイバー・バズ/デジタルインファクト |
Instagramは全年代で半数以上が利用しており、写真・リールのUGCが日常的に目に触れる環境があります。また、ソーシャルメディアマーケティング市場は1兆円を超える規模に成長しており、企業側もSNS上の発信を重要なマーケティング領域として扱っていることが分かります。UGCはこの大きな「場」の中で流通しているため、自社の商品に関するUGCがどのSNSに多いのかを把握することが、施策の出発点になります。
詳しい数値や年代別の傾向はSNS・メディア利用実態データ、市場規模の推移はインフルエンサーマーケティングの市場規模・統計データ集にまとめています。
UGCと広告の違い・SNS別の主な形態
UGCと従来型の広告は、制作主体だけでなく、情報としての性質も異なります。
| 軸 | 従来の広告 | UGC |
|---|---|---|
| 発信主体 | 企業 | ユーザー(第三者) |
| 受け手の受け止め方 | 「企業の宣伝」と認識されやすい | 「利用者の感想」として参照されやすい |
| 内容のコントロール | 企業が決められる | 原則として企業は決められない |
| 持続性 | 出稿停止で表示が止まる | SNS・口コミサイトに残り続ける |
| 企業が使う場合 | 自由に使える | 投稿者の許諾が必要 |
UGCの形態はSNSによって異なります。主な形態は次のとおりです。
| SNS | UGCの主形態 | 企業の主な活用方法 |
|---|---|---|
| 写真・リール | ストーリーズでの紹介、商品ページへの掲載 | |
| TikTok | 動画レビュー・開封 | ハッシュタグ企画、許諾を得たうえでの広告素材化 |
| X | テキスト感想 | 引用による紹介、声の分析 |
| YouTube | レビュー動画 | 商品ページへの埋め込み |
| Threads | テキスト体験談 | 引用、会話への参加 |
UGC施策の全体像:発生・収集・許諾・活用の4工程
UGC施策は、単に「UGCを増やす」ことではなく、次の4つの工程のつながりとして捉えると全体像が見えやすくなります。各工程の詳細は専門の記事で解説しているため、ここでは地図としての概要にとどめます。
| 工程 | やること | 詳しく読む記事 |
|---|---|---|
| ① 発生 | UGCが生まれるきっかけを作る(体験設計・ハッシュタグ企画・インフルエンサー起用など) | UGCマーケティング手法の選び方 |
| ② 収集 | 投稿を見つけ、募集企画を設計し、記録する | UGC収集の仕組み |
| ③ 許諾 | 二次利用の範囲・期間を投稿者に確認し、記録を残す | UGC利用許諾の取り方 |
| ④ 活用 | 商品ページ・広告・公式SNSなどで使い、効果を見る | UGCマーケティングの成功事例 |
発生の段階では、マイクロインフルエンサーの起用で「最初の投稿」を作る方法がよく使われます。起用の考え方はマイクロインフルエンサーとは?、中小企業が予算に応じて進める方法は中小企業のSNS集客戦略で整理しています。
SNSで公開されている投稿であっても、企業が自社サイトや広告で使う場合は、原則として投稿者の許諾が必要です。著作権・肖像権の考え方はUGCの著作権・二次利用ガイドで一般論として整理していますが、個別のケースは弁護士等の専門家にご確認ください。
目的別:UGC関連記事の読む順番
UGCシリーズは記事数が多いため、担当者の状況に合わせて読む順番をまとめました。本記事で全体像をつかんだあと、目的に近い行から読み進めてください。
| 目的・状況 | 読む順番 |
|---|---|
| 社内でUGCの言葉の定義をそろえたい | 1. CGMとUGCの違い → 2. 本記事の「範囲を判断する3つの問い」 |
| UGC施策をゼロから企画したい | 1. ULSSASとは → 2. UGCマーケティング手法の選び方 → 3. 成功事例と共通点 |
| すでにUGCはあるが、集め方・運用を整えたい | 1. UGC収集の仕組み → 2. UGC活用ツール比較 |
| UGCを広告・商品ページで使いたい | 1. UGCの著作権・二次利用ガイド → 2. UGC利用許諾の取り方(テンプレート) |
| 上司・社内への提案材料がほしい | 1. UGCマーケティングの成功事例 → 2. UGC活用事例集 → 3. 市場規模・統計データ集 |
| ツール導入を検討している | 1. UGC活用ツール比較 → 2. UGCプラットフォーム比較 |
どのルートでも、許諾と著作権の記事は一度目を通しておくことをおすすめします。UGC施策のトラブルの多くは、手法よりも「使ってよいかどうか」の確認不足から起こるためです。
まとめ
UGCは「ユーザーが制作・発信するコンテンツ」であり、発信の場であるCGMとは区別される概念です。実務では、自然発生型と依頼型、許諾済みと未許諾を分けて扱うことで、社内の認識と数字の見え方がそろいます。
UGC施策は「発生・収集・許諾・活用」の4工程で成り立っており、それぞれに専門の論点があります。まずは本記事で全体の地図をつかみ、目的別の読む順番に沿って必要な記事から読み進めてください。SIGNAL BASE では、マイクロインフルエンサーの継続起用を通じて、UGCの「発生」の工程を支援しています。